訳ありOK?
実例分析 / 2026-07-02

占有者付き・不法占拠物件の法的整理
明渡訴訟から建物収去まで — 適法な手続きの全体像

著者: wakeari 編集部 / 推定読了時間 10 分 / 出典: 株式会社 SA (訳あり不動産専門チーム) の公開事例

案件サマリ
物件の状態
無契約バラック・不法占拠・違法建築が敷地上に存在
主な問題
占有未解消のままでは融資不可・実需売却不可 → 相場の 3 割前後まで discount

年間 1 万件の相談実績を持つ株式会社 SA の公開事例では、無契約バラックや不法占拠・違法建築を法的に整理して商品化するプロセスが紹介されている。本記事では同種案件で使われる適法な手続きを、買取再販社の実務目線で解説する。

1. 占有物件の discount 構造

占有者がいる物件は、(1) 金融機関の担保評価がつかない、(2) 実需買主が住めない、(3) 明渡までの期間とコストが読めない、の 3 点で市場価値が大きく毀損する。当社試算モデルでは占有未解消の現況価値を解消後相場の約 30% と置いている。逆に言えば、適法に占有を解消できる買取再販社にとっては 70% 分の価値回復余地がある。

2. 任意退去交渉と立退料の相場

最初の選択肢は弁護士等の専門家を通じた任意退去交渉である。立退料の相場は物件価値の 5-10% 程度 + 引越支援。占有者が交渉に応じる姿勢なら成功率は高く、期間も 6 ヶ月程度で済む。重要なのは、鍵の交換・荷物の撤去・威圧的な訪問などの自力救済は絶対に行わないこと。自力救済は不法行為 (損害賠償) や住居侵入等の刑事責任を問われ、案件全体が崩壊する。交渉は必ず弁護士等の専門家に委任する。

3. 明渡訴訟 → 強制執行の流れと費用

交渉決裂時は建物明渡 (土地明渡) 請求訴訟へ移行する。所有権に基づく妨害排除請求は法的に強く、占有権原 (賃貸借等) のない占有者に対しては勝訴率が高い。当社試算モデルでは弁護士費用 150 万 + 強制執行費 100 万 = 計 250 万、期間 12-24 ヶ月を標準と置く。判決取得後も任意に退去しない場合は、裁判所の執行官による強制執行 (催告 → 断行) で physical に明渡が実現する。

取得時効 (民法 162 条) に注意: 所有の意思をもって平穏・公然に 20 年 (善意無過失なら 10 年) 占有が続くと、占有者が所有権を時効取得する抗弁が成立し得る。占有 10 年超の案件は時効の完成猶予・更新 (催告・裁判上の請求) を意識した早期着手が重要。当社モデルでは占有 20 年超で訴訟の成功率を 0.85 → 0.55 に引き下げている。

4. 違法バラックの建物収去土地明渡

敷地上に他人名義 (または無契約) の違法建築物が建っている場合は、建物収去土地明渡訴訟で建物の撤去と土地の明渡を同時に求める。判決後に相手が収去しなければ代替執行 (行政的に第三者が取り壊し、費用を相手に請求) が可能。当社試算では訴訟 200 万 + 収去代替執行 300 万 = 計 500 万、期間 24 ヶ月で、更地化により土地のフル価値 (相場の 95%) を回復するモデルとしている。違法建築物は建築基準法違反の是正命令 (特定行政庁) とも連動でき、行政ルートの活用も選択肢になる。

5. 当社試算モデルの EV 例

解消後相場 1,600 万の戸建 (不法占拠 8 年、交渉姿勢不明) での当社試算: 明渡訴訟の期待価値 (EV) は成功率 0.85 × (1,408 万 - 250 万) + 0.15 × (480 万 - 150 万) ≒ 1,034 万で最良。買取上限は EV × 0.82 ≒ 848 万。任意交渉 (成功率 0.4) や占有付き転売 (相場 40%) を上回る。※金額は当社試算モデルによる架空数値であり、個別案件の弁護士費用・立退料は事案により大きく変動する。

まとめ — 占有物件は「法的手続きの EV 比較」で仕入れ判断

占有・不法占拠は最も敬遠される訳あり類型だが、適法な手続き (任意交渉 / 明渡訴訟 / 建物収去) の成功率とコストを EV で比較すれば、仕入れ判断は定量化できる。訳ありOK? は URL 投入だけで占有キーワードを検出し、占有年数に応じた取得時効リスクまで織り込んだ買取上限を自動算出する。実際の手続きは必ず弁護士等の有資格者に相談のうえ進めていただきたい。

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